「Film Frontier(フィルム・フロンティア)」 活動報告会開催レポート

Film Frontierの報告会が東京国際映画祭で開催、海外渡航・滞在型開発・長編アニメ支援の進捗とAFAN加盟の意義、若手の海外展開推進に期待。

長編アニメクリエイター開発 レポート
「Film Frontier(フィルム・フロンティア)」 活動報告会開催レポート
  • 「Film Frontier(フィルム・フロンティア)」 活動報告会開催レポート
  • 田村順也文化庁参事官(芸術文化担当)付芸術文化調査官
  • 左から吉原裕幸プロデューサー、チョン・ジニョン監督、山下つぼみ監督
  • 左からクリスチャン・ジュンヌ氏、川村真司監督、小川育監督、四宮義俊監督
  • 四宮義俊監督
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「クリエイター支援基金」の一環で、複数年度にまたがり才能あるクリエイターの海外展開をサポートするプログラム「Film Frontier(フィルム・フロンティア)」の活動報告会が、2026年10月30日、第39回東京国際映画祭開催で活況を呈する東京日比谷地区「Lexus Meets...」にて開催された。

「フィルム・フロンティア」統括アドバイザーを務める、市山尚三氏( 東京国際映画祭のプログラム・ディレクター )、井上伸一郎氏 ( 元(株)角川書店代表取締役社長 )のお二人と、ゲストのクリスチャン・ジュンヌ氏(カンヌ国際映画祭代表補佐兼映画部門ディレクター)が登壇、「海外渡航プログラム」「滞在型企画開発」「長編アニメクリエイター支援」参加者が活動報告を行った。

まず開催の挨拶として文化庁から田村順也参事官(芸術文化担当)付芸術文化調査官が登壇。
政府がコンテンツ産業を我が国の成長を牽引する17の戦略分野の一つに位置付け、海外展開や国際競争力の強化を推進していること、それと同時に、映画が持つ文化芸術としての価値の重要性を強調した。
今年は日本がアジア・フィルム・アライアンス・ネットワーク(AFAN)に正式加盟したこと、「アジア各国・地域との連携を深め、若手クリエイターが国境を越えて学び合い、共に成長する機会を広げていきます」と力強く語った。本会にはAFAN事務局長のローナ・ティー氏も駆けつけ、田村調査官からの呼びかけにこたえていた。

田村順也文化庁参事官(芸術文化担当)付芸術文化調査官

複数回の渡航が企画開発にドライブをかける

育成対象者の発表として「海外渡航プログラム 2期」で活動中の吉原裕幸プロデューサーが、企画開発を共に進めているチョン・ジニョン監督と現在までの活動を報告。ウディネ(イタリア)で行われた「フォーカスアジア」や、カンヌ(フランス)「マルシェ・ドゥ・フィルム」内の「プロデューサーネットワーク」、先に田村調査官が触れたAFANがマニラで実施した若手映画制作者対象のブートキャンプへの参加を通して、ヨーロッパの共同プロデューサーの獲得や、複数のメンターから有益なアドバイスを得るなど、フィルム・フロンティアのサポートを得て積極的に海外に足を運び着実に歩みを進めていることを説明した。

「滞在型企画開発」参加者からは山下つぼみ監督が登壇した。昨年フランスに3週間滞在し、俳句や詩作における精神性、ジェンダー的な役割と創作活動の葛藤などクリエイティブな議論を深めることができたこと、今年はロッテルダム映画祭併設ラボ(オランダ)へ参加し、その後に行われた「滞在型企画開発」のアドバイザーをつとめる小西啓介氏(プロデューサー、株式会社ハピネット・メディアマーケティング代表取締役副社長)のケーススタディを通して、プロデューサーの担う多大な役割について、特に国際共同製作における複雑で重要な手続きも改めて理解する機会となったことを強調した。

左から吉原裕幸プロデューサー、チョン・ジニョン監督、山下つぼみ監督

クリスチャン・ジュンヌ氏は、「日本は人口減少が進む国であるのに、コロナ禍以降くらいから、若手映画人の増加、海外進出が勢いを増し、伝統ある日本映画が再び活況を呈していることを実感しています。これはパラドックスでありますが業界にとって喜ばしいことです。このフィルム・フロンティアの活動が、2027年、2028年に実を結ぶことを楽しみにしています」とコメントした。

映画祭での存在感が増すアニメーション

長編アニメクリエイター支援については、統括アドバイザーの井上伸一郎氏より、アニメーションは実写と比較すると製作時間もかなり長く、日本のアニメ業界は海外との関わりが未熟なため、多方面からの助言を受けながら手探りで始めたが、それぞれの企画が形になったとコメント。

クリスチャン・ジュンヌ氏より「カンヌではかつてアニメーションは主流ではなかったが、近年成長している。ビジネス面の好調もあり、多数のアニメーションのエントリーがある。今年カンヌのショートのコンペ部門10本の枠に4000を超えるエントリーがあり、3本のアニメーションが選ばれた。」とアニメーションの存在感が高まっていると発言した。

左からクリスチャン・ジュンヌ氏、川村真司監督、小川育監督、四宮義俊監督

「花緑青が明ける日に」四宮義俊監督からはドメスティックな景色やテーマが世界に繋がるという信念を持ちフランスとの協働も経て、結果初監督長編でベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出され、初めての国際映画祭でとまどいながら参加したこと、現地での観客の方々の反応と日本との違いなどが語られた。また、アヌシー国際アニメーション映画祭コントレシャン部門での審査委員賞の受賞などが紹介された。

四宮義俊監督

続くストップモーションアニメーション「HIDARI」の川村真司監督と小川育共同監督からは、フィルム・フロンティアの支援が企画開発に必要な活動やイベント参加において活用され、カンヌのMarche du Film, Cannes Animationでのプレゼンテーションや、アヌシー国際アニメーション映画祭併設マーケットMIFAに参加したことが報告された。またカンヌで声優としてキャスティングが発表されたキアヌ・リーヴスの参加経緯なども語られた。

アニメーション監督たちとジュンヌ氏を交えてのトークでは、四宮監督の、どこの映画祭でもAIについての質問を受けるという実体験から、AIとの関わり方についてそれぞれが意見交換した。また映画祭の魅力を尋ねられたジュンヌ氏は、映画祭での出会いや交流はもちろんのこと、一番の核は映画体験をわかちあうことであると強調した。



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