【佐久間啓輔監督】プチョン・レジデンス/ワークショップ滞在レポート

参加監督:佐久間啓輔滞在期間:2025年6月10日(オンライン)/6月30日~7月10日(現地滞在)滞在地:韓国・プチョン

滞在型企画開発 レポート
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参加監督:佐久間啓輔
滞在期間:2025年6月10日(オンライン)/6月30日~7月10日(現地滞在)
滞在地:韓国・プチョン



滞在型企画開発として、2025年6月から7月にかけて、プチョン国際ファンタスティック映画祭が主催する「ファンタスティック・フィルム・スクール」に参加した。本プログラムでは、AI技術を活用した短編映画制作をテーマに、国際混成チームによる実践的なワークショップが行われ、企画・脚本・撮影・編集までの工程を短期間で完遂することが求められた。

オンライン期間における企画立ち上げと準備
6月中旬よりオンラインでのオリエンテーションおよびミーティングが開始され、10名規模の国際チームが編成された。本ワークショップでは、監督・プロデューサーに加え、各チームにAIアーティストが配置されている点が特徴的であり、AIを前提とした映画制作体制を学ぶ機会となった。当初提示されていた作品尺(5~10分)が、オリエンテーション時に5分以下へ変更されるなど、制作条件の調整を余儀なくされる場面もあったが、短期間で脚本を再構成し、企画を成立させた。オンラインミーティングを重ねながら、チーム内で作品の方向性を共有し、渡航前より撮影準備や役割分担を進めた。

現地滞在における制作プロセス
6月30日よりプチョンにて現地滞在を開始し、オンラインで協働してきたチームメンバーと初めて対面した。ロケハンや俳優との打ち合わせを通じ、脚本・演出の最終調整を行った。本作では、韓国人俳優と日本人俳優が韓国語で演じる構成としたため、実際の発話やニュアンスを確認しながら脚本の修正を重ねた。ロケハンでは、絵コンテをもとに画角やレンズ選択を検討し、AIを使用するカットについても具体的な設計を行った。日本人俳優の音声をAIで韓国語音声に変換する可能性について検証を行い、一定の自然さが得られることを確認した上で、一部のセリフにAI音声技術を採用する判断を行った。

ワークショップ講義と国際的な学び
滞在中は、編集、AI技術、映画祭戦略、演技など多岐にわたる講義が実施された。編集講義では、実際の作例を用いながら編集思想について学び、作品に対する具体的なフィードバックを受けた。また、AI講義では、音声加工や背景拡張など、演出意図に沿ったAI活用方法について実践的な知見を得た。俳優ワークショップでは、韓国の俳優・指導者から演技へのアプローチについて話を聞く機会があり、演技と演出の関係性を多角的に捉える視点を得ることができた。プチョン国際映画祭の開幕式にも参加し、映画祭が都市全体で映画文化を支えている様子を体感した。


撮影・編集・仕上げ
7月6日に撮影を実施。現地プロデューサーの手配による韓国人スタッフと協働し、照明・撮影・録音・演出各部が連携する中、予定通り撮影を完了した。ワークショップの一環でありながら、完成度の高い作品を目指すという意識をチーム全体で共有できたことは大きな成果であった。撮影後はオフライン編集を担当し、AIチームと連携しながら音楽・SEの生成を進めた。短期間での編集・整音・カラーグレーディングというタイトな工程の中で、最終提出まで作品を完成させた。技術的な制約や時間的制限はあったものの、完成後には各チーム作品の上映が行われ、国際的な制作手法の多様性を学ぶ機会となった。


総括
今回のプログラムは、映画祭としてもフィルムスクールで実際に一本の映画を完成させる初めての試みだったこともあり、進行面で戸惑う場面もありました。一方で、座学中心ではなく、実制作を通じて学ぶ形式は自分にとって非常に意義のあるものでした。海外の映画祭では多くの人と出会い、ネットワークが一気に広がったように感じることがありますが、実際に仕事を共にしてみないと、信頼できる相手かどうかは分からないという難しさがあります。特に長編映画の実績がまだない立場では、その見極めはより重要だと感じています。今回のワークショップでは、企画から撮影・編集までをチームでやり切ったことで、それぞれの姿勢や実力を実感をもって知ることができました。その結果、今後のキャリアにおいて信頼できる仲間と出会えたことが、何より大きな収穫だったと思います。次の目標は長編映画の実現ですが、長期的に見ても、今回のレジデンスは海外で活動していく上での人間関係や実践的な学びを得られた、非常に価値のある経験でした。



《関谷奈美》